【10月31日 AFP】フランス政府は30日、教会などの警備を強化するため、人員を増加する方針を発表した。当局は、29日に南部ニース(Nice)の教会で3人が刺殺された事件で逮捕されたチュニジア人容疑者の動機について捜査を進めているが、ジャンイブ・ルドリアン(Jean-Yves Le Drian)外相は、フランス国民は「どこにいても」危険な状況にあると警告している。

 フランスではここ数週間にわたってイスラム過激派とみられる容疑者による攻撃が相次いでおり、同国の警戒態勢はすでに最大まで引き上げられている。

 ニースでの事件を受け、ジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相は、フランスは「イスラム過激主義と戦争状態」にあると述べ、こうした思想は「国内外の敵だ」と繰り返し主張。安全保障会議に出席後、仏憲兵隊の予備兵3500人を警備強化のために招集する方針を明らかにし、地方当局は計7000人の治安部隊員をそれぞれの裁量で動員できるようになると述べた。

 エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は30日、治安当局や各省幹部らを集めた危機対策会議を主催。同氏は、11月1日の諸聖人の日(All Saints' Day)を前に、すでに教会などで軍の警備を強化している。

 軍も、危険が懸念される観光地や宗教施設などの警備を目的に兵士を国内に配備するサンティネル(Sentinelle)と呼ばれる「歩哨作戦」を増員するため、来週から兵士4000人を新たに動員し、計7000人で任務に当たる方針を認めている。

 マクロン氏主催の危機対策会議に出席したルドリアン外相は、ニースでの襲撃事件を受け、国民は「どこにいても」危険な状況に直面していると警告し、すべての在外フランス人に警戒が呼び掛けられていると述べた。

 イスラム過激派による攻撃やイスラム教預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画に対するマクロン氏の見解をめぐり、宗教全体を不当に非難していると世界中の多くのイスラム教徒が怒りの声を上げ、アフガニスタンやパキスタン、バングラデシュ、マリ、モーリタニア、レバノンでは30日、フランスに対する抗議デモが繰り広げられた。(c)AFP/ Joseph Schmid