【10月31日 AFP】係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)をめぐり交戦しているアルメニアとアゼルバイジャンは30日、スイス・ジュネーブで協議し、新たな停戦合意に至ることはなかったものの、民間人を標的としないことなど、緊張緩和措置で合意した。仲介した欧州安保協力機構(OSCE)ミンスクグループ(Minsk Group)が明らかにした。

 アルメニアのゾフラブ・ムナツァカニャン(Zohrab Mnatsakanyan)外相とアゼルバイジャンのジェイフン・バイラモフ(Jeyhun Bayramov)外相は、ナゴルノカラバフで1か月以上続く軍事衝突の停止を目指した直接協議に出席。

 両国は、声明では新たな停戦を宣言していないが、さまざまな緊急措置を講じ、「国際人道法に従って民間人や非軍事的施設を意図的に攻撃しないこと」を約束。また、「情報提供と最終的な捕虜交換のため」、現在拘束されている捕虜のリストを1週間以内に赤十字国際委員会(ICRC)に提出することで合意した。

 軍事衝突が勃発したのは9月27日。確実な停戦を目指して各国が仲介してきたにもかかわらず、今も紛争は続いている。ここ数日では、民間人の居住地区が新たに砲撃やロケット攻撃を受けるなど、戦闘が激化している。

 アルメニアとアゼルバイジャン両国では、衝突が起きて以来1200人以上が死亡し、数千人が避難を余儀なくされた。

 アゼルバイジャンは、軍の犠牲者数を公表しておらず、死者数はこれより多いとみられている。ロシアのウラジーミル・プーチン(Vladimir Putin)大統領は先週、この紛争で5000人近い死者が出ていると明らかにした。(c)AFP/Nina LARSON