【10月31日 AFP】欧州連合(EU)加盟国のスロバキアで31日、全国民を対象とする新型コロナウイルスの抗原検査プログラムが開始される。世界初となるこのプログラムをめぐっては、医師らから検討不足との批判も上がっている。

 人口約540万人のスロバキアでは、約5000か所の検査所に医療従事者や軍関係者、警官ら約4万5000人が動員され、綿棒で参加者の検体を採取する。

 抗原検査では迅速に検査結果が分かり、中には数分以内に結果が判明するものもあるが、PCR検査ほど信頼性が高いとはみられていない。

 検査への参加は義務ではないが、警察に止められた際に検査の陰性証明書を提示できなければ、多額の罰金を科される可能性がある。陽性だった人は、直ちに10日間の隔離をしなければならない。

 中国では、都市ごとに大規模検査が行われているが、これほどの規模で新型コロナウイルス感染の全国検査を実施するのはスロバキアが世界で初めて。

 スロバキア政府は、2日間かけて全国検査を実施し、来週末にも再び大規模検査を実施する意向。しかしすべての検査所に配置する医療従事者を探すのに苦慮しており、医師に報奨金を用意せざるを得ない状況となっている。

 先週末に感染リスクが高い4地域で行われた予備検査では、参加者が最大2時間待ちとなる検査所もあった。

 スロバキアの一般開業医協会(SVLS)は、政府の計画は検討不足だと批判。数百万もの人を検査所に集めるのは、公共の場所での接触や移動を可能な限り減らすよう求めている感染症専門家の勧告と食い違っていると指摘している。(c)AFP/Laszlo JUHASZ