【11月7日 AFP】「コールドハワイ」は、熱帯地方の楽園から遠く離れたデンマークの西海岸にある。新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で渡航制限下にある今、サーファーらがこのコールドハワイに集っている。

 その名の通りの冷たい水、刺すような寒さ、ヤシの木のない浜辺にもめげることなく、サーファーらは完璧な波を探している。上空にはたいてい曇った寒空が広がっている。

 クリッドモーラー(Klitmoller)という漁村に近い、底冷えのする険しい海岸。ここを訪れるサーファーの数が増えたのは近年のことだ。

 サーフィン教室を営むモア・メルカ(Mor Meluka)さん(34)は、新型ウイルスが「実に大きなブームを巻き起こした」と語る。イスラエル出身のメルカさんは11年前、家族とともにここへ移り住んだ。

 メルカさんはAFPに対し、デンマークや周辺諸国のサーファーらは「世界中を旅していた」が、今は「どこにも行けないので、例年より多くの人がここへ来る」と語った。

 メルカさんは妻のバヒーネ・イッチナー(Vahine Itchner)さんと、サーフィン教室「コールドハワイ・サーフキャンプ(Cold Hawaii Surf Camp)」を運営している。夏季には15人のインストラクターを雇い、オフシーズンでも毎日レッスンを行っている。

 クリッドモーラーはユトランド(Jutland)半島の海岸に点在する漁村の一つで、人口はわずか1000人。ウィンドサーファーの間では昔から人気があったが、その地理的な位置からしてサーフィンの伝統は全くなかった。にもかかわらず、期せずしてサーファーの人気スポットとなった。

 1990年代、最初にサーファーが訪れ始めたとき、地元の人々は新参者をけげんそうに見ていた。「地元の人にとっては初めてのことでした。(中略)漁師は彼らと海を共有しなければなりませんでした」とイッチナーさん。 「しかし、ボードに乗るサーファーはそんなに場所をとりません」

 サーフィンは今日、地元の文化の欠かせない一部となっている。そして授業科目にもサーフィンがあるため、子どもたちの学校生活の一部にもなっている。(c)AFP/Camille BAS-WOHLERT