【10月30日 AFP】米国務省は、日産自動車(Nissan Motor)前会長、カルロス・ゴーン(Carlos Ghosn)被告の逃亡を手助けした容疑者2人について、日本への引き渡しを認めた。29日にも移送される予定だったが、両容疑者が異議を申し立て、裁判所が受理したため、手続きは保留になった。

 米軍特殊部隊グリーンベレーの元隊員マイケル・テイラー(Michael Taylor)容疑者と息子のピーター・テイラー(Peter Taylor)容疑者は5月、日本からの要請によってマサチューセッツ州内で逮捕された。

 裁判所が公表した文書によると、スティーブン・ビーガン(Stephen Biegun)国務副長官は、国務省が「慎重かつ徹底的に」検討した上で、日本からの引き渡し要請を受け入れた。

 しかし、マサチューセッツ州のインディラ・タルワニ(Indira Talwani)連邦判事は、両容疑者の緊急申し立てについて裁判所が審理する時間を設けるため、手続きを保留した。

 両容疑者によると、28日午後10時すぎに、翌29日午後1時にボストン(Boston)から東京へ向かう便で移送されることを知らせるメールを受け取ったという。

 両容疑者はレバノン国籍のジョージ・ザイエク(George-Antoine Zayek)容疑者と共謀し、ミュージシャンになりすましてゴーン被告を音響機器運搬用の大型ケースの中に隠し、プライベートジェットに運び込む手助けをしたとされている。

 両容疑者は、日本では公正な裁判を受けることができず、国連(UN)の拷問等禁止条約に違反する「抑圧的で懲罰的な」行為に直面する可能性があると主張している。両容疑者の弁護団は、国務省の決定は「恣意(しい)的で専断的」で、米国法に違反していると主張。また、日本が十分な証拠を提示していないとして、日本との米国の犯罪人引き渡し条約にも違反すると訴えた。(c)AFP