【10月30日 AFP】ボクシング、WBA・IBF世界バンタム級統一王者の井上尚弥(Naoya Inoue)は、31日に行われる米ラスベガス(Las Vegas)でのデビュー戦で、この二つの世界タイトルを懸けてジェイソン・マロニー(Jason Moloney、オーストラリア)と対戦する。

 脅威の破壊力を誇る拳で「モンスター(怪物)」の異名を取る無敗王者の井上(プロ通算19戦19勝<16KO>)は、MGMグランド・カンファレンスセンター(MGM Grand Conference Center)の「バブル(隔離環境)」下で行われる12ラウンドの一戦で51週間ぶりに実戦復帰。早期決着で4連勝を記録しているマロニー(同21勝1敗<18KO>)は、わずか4か月で再びリングに立つ。

 井上は昨年11月に行われたワールド・ボクシング・スーパー・シリーズ(World Boxing Super SeriesWBSS)のバンタム級で、準決勝までの4戦をいずれも3ラウンド戦わずに勝ち上がった後、決勝ではフィリピンのスター選手であるノニト・ドネア(Nonito Donaire)に3-0の判定勝ちを収めてタイトルを統一した。

 井上は、試合を中継する米スポーツ専門チャンネルESPNに対して、「対戦相手を毎回KOするつもりでいるわけではない」「そういう試合を見せたいとは思っているが、ボクシングはそれだけではない。自分の技術や能力を全て示したい」と語った。

 4月にはジョンリール・カシメロ(John Riel Casimero、フィリピン)と対戦するはずだったが、試合は新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で中止され、ボブ・アラム(Bob Arum)氏との新たなプロモーター契約も数か月遅れた末に今回のリング復帰となった。

 アラム氏は井上について、「ナオヤは世代を代表する逸材であり、10年に一度のファイターだ」「米本土でもすぐに大スターになるだろう。われわれは、歴史に残るキャリアの全盛期に突入している史上最高のボクサーを目撃しているんだ」と述べた。

 一方、6月のファイトでレオナルド・バエズ(Leonardo Baez、メキシコ)を7ラウンドで退けた29歳のマロニーは、2年前にIBF世界バンタム級タイトルマッチでエマヌエル・ロドリゲス(Emmanuel Rodriguez、プエルトリコ)にプロ唯一の黒星を喫して以降、KO勝ちが続いている。

 現在27歳の井上は、2012年に19歳でプロボクサーに転身してからわずか6戦でWBC世界ライトフライ級のタイトルを獲得すると、その後は階級を上げて世界スーパーバンタム級を制覇。マロニーについては、「何か突出したものがあるとは思えないけど、すべてにおいてレベルは高い」「隙のない選手なのでしっかり準備している」とコメントした。

「自分のボクシングに関して満足には程遠い。だからこそ、もっと強くなりたいというモチベーションを維持できている」「まだ改善の余地はある。自信過剰にならないように注意している」 (c)AFP