■トランプ氏の二つのシナリオ

 トランプ氏は二つの可能性を示唆している。

 一つは、11月3日夜の時点での予想結果がトランプ氏の不利と出た場合、敗北を認めるのを拒否し、各州の現場にいる共和党員らの助けを借りて集計に異議申し立てを行う可能性だ。

 これは数週間に及ぶ面倒な票の再集計につながる可能性がある。すべての票の見直しが行われ、あらゆる変則的な事態に異議が申し立てられるだろう。

 他方、当日夜の時点で自らが優勢であるとトランプ氏が判断した場合、郵便投票の集計が済む前に勝利を宣言する可能性がある。

 郵便投票は共和党支持者よりも民主党支持者が多くなると専門家らはみており、トランプ氏は既に郵便投票の有効性を受け入れない可能性をほのめかしている。

 民主・共和両党は、投票後の攻防戦に向け、大規模な弁護団を招集している。

 2000年の大統領選では、民主党候補のアル・ゴア(Al Gore)氏と共和党候補のジョージ・W・ブッシュ(George W. Bush)氏の戦いが、フロリダ州1州での決着にかかった。この争いは最高裁にまで持ち込まれた末、再集計の実施に不利な判断が下り、ブッシュ氏の勝利が決まった。

 トランプ氏率いる共和党は今回、フロリダ、ウィスコンシン、ミシガン、ペンシルベニアなどの主要激戦州で敗北という結果が出た場合に異議申し立てを行う準備をしている。

 トランプ氏が退任を拒否した場合、上院は弾劾裁判によって罷免することができる。ミッチ・マコネル(Mitch McConnell)共和党上院院内総務は9月下旬、有権者を安心させようとして「11月3日の大統領選の勝者が、来年1月に米大統領に就任する」と述べた。(c)AFP/Paul HANDLEY