【10月29日 AFP】イランの最高指導者アリ・ハメネイ(Ali Khamenei)師は28日、フランスのエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領がイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を擁護したことを「愚行」と呼び、ホロコースト(Holocaust、ユダヤ人大量虐殺)に疑義を呈することが犯罪で、預言者への侮辱が許されるのはなぜなのかと問い掛けた。

 ハメネイ師は公式ウェブサイトに「フランスの若者」に向けたメッセージを投稿。「なぜ表現の自由の名目で預言者への侮辱を支持するのかと大統領に問いなさい。表現の自由は、特に神聖な人物に対する侮辱を意図したものなのか?」「この愚行は、彼を選んだ有権者の判断力に対する侮辱ではないか?」と問い掛けた。

 さらに、ホロコーストに疑問を投げ掛けることが犯罪とされる一方、預言者ムハンマドへの侮辱が許されるのはなぜなのかと問い掛けた。

 これに先立ち、イランの高官らは相次いでマクロン氏を批判。ハッサン・ロウハニ(Hassan Rouhani)大統領は28日、預言者に対する侮辱は「不道徳」で「暴力と流血沙汰」を助長しかねないと警告。「預言者ムハンマドに対する侮辱は、イスラム教徒全員、預言者全員、すべての人間の価値に対する侮辱であり、倫理の蹂躙(じゅうりん)だということを、欧米諸国は理解しなければならない」と述べた。

 首都テヘランのフランス大使館近くでは28日、マクロン氏の発言に対する抗議デモが行われ、大勢が参加した。「恥を知れ、マクロン」と書かれた横断幕を掲げたり、マクロン氏の写真を燃やしたりする参加者もいた。

 イスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を学校の授業で見せた歴史教師が殺害されて以来、マクロン氏は世俗的な価値観と宗教を風刺する権利を強く擁護してきた。しかし、イスラム教徒が多数を占める国々の一部では、マクロン氏の発言への反発から抗議デモが行われ、フランス製品の不買運動が呼び掛けられている。(c)AFP