【10月29日 AFP】米ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)市当局は28日、警察による黒人男性射殺をめぐる暴動が2夜連続で発生したことを受け、外出禁止令を出すと発表した。

 同市では26日、刃物を所持していた黒人男性のウォルター・ウォレス(Walter Wallace)さん(27)が、警察に射殺された。家族はウォレスさんが精神に問題を抱えていたと説明し、警察がテーザー銃を使用しなかったことに疑問を投げかけている。

 市内では数千人がウォレスさんの射殺に抗議し、略奪や暴力行為が発生。市はウェブサイトでの発表で、市内全域を対象に同日午後9時から翌29日午前6時まで外出禁止令を出すと表明した。

 米国では5月、ミネソタ州ミネアポリス(Minneapolis)で黒人のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが警察により殺害される事件が起きたことをきっかけにデモや暴動が相次いだ。11月3日の米大統領選まで1週間を切る中、共和、民主両党の間ではウォレスさんの死とデモ発生を受けて再び政治論争が勃発している。

 ドナルド・トランプ(Donald Trump)大統領は記者団に対し「私が目にしているのはひどいことだ。正直言って、市長であろうが誰であろうが、人々の暴動や略奪を許して制止しようとしないのも、ひどいことだ」と語った。

 デモ参加者の多くは警察による人種差別と暴力を非難してきたが、トランプ氏は一連の騒乱を利用して「法と秩序」の候補としてのイメージを強化してきた。

 民主党の正副大統領候補、ジョー・バイデン(Joe Biden)氏とカマラ・ハリス(Kamala Harris)氏は共同声明を出し、ウォレスさんの家族を考えると「心が痛む」と表明すると同時に、「略奪は抗議ではなく、犯罪だ」と強調した。(c)AFP