【10月28日 AFP】カタールの首都ドーハの空港のトイレで産み捨てられた未熟児が見つかり、母親を見つけるために利用客の女性が子宮頸部(けいぶ)の検査を強要された件で、オーストラリアは28日、計10便の女性客が対象にされたと明らかにした。一方、カタール政府は同日、女性客を苦しめ、個人の自由を侵害したとして、遺憾の意を表明した。

 ドーハのハマド国際空港(Hamad International Airport)で今月2日、カタール航空(Qatar Airways)のドーハ発シドニー行きの便から女性客が降ろされ、女性器の検査を強要された件は、オーストラリア人の乗客らが声を上げたことで発覚した。

 オーストラリアのマリス・ペイン(Marise Payne)外相は28日、計10便に乗っていた女性たちが検査の対象にされたと上院の公聴会で明らかにした。
 
 ペイン氏によると、ドーハ発シドニー行きの便で検査を強要された女性のうち、18人はオーストラリア人だった。AFPは、同便に乗っていたフランス人1人も対象にされたことを確認している。

 ペイン氏は他の9便について、オーストラリア人女性が乗っていたかどうかは分からないとだけ述べ、目的地などの情報は明らかにしなかった。

 これに先立ち、ペイン氏はこの件を「極めて不快」「侮辱的」と評していた。

 カタール政府は28日、公式サイトに発表した声明で「緊急に決定された検査の目的は、恐ろしい罪を犯した者の逃亡を防ぐことだったが、カタール国はこの行為によって旅行者に生じたあらゆる苦痛や個人的自由の侵害を遺憾に思う」と述べた。

 声明によると、未熟児は女の子で、レジ袋に入れられた状態でごみ箱の中に埋もれていた。現在はドーハで治療を受けており、無事だという。(c)AFP