【10月28日 AFP】陸上男子100メートルの現世界王者クリスチャン・コールマン(Christian Coleman、米国)が、薬物規定違反により2年間の出場停止処分を受け、2021年の東京五輪は出場できない見通しとなった。陸上競技の不正防止機関「アスレチックス・インテグリティ・ユニット(AIU)」が27日に発表した。

 コールマンは、居場所に関するルールに3回違反し、今年6月に暫定的な出場停止処分を科されていたが、ワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)の懲罰委員会はこの判断を支持し、コールマンを2年間の出場停止とした。処分は2020年5月14日までさかのぼって適用される。

 コールマンは30日以内であれば、スポーツ仲裁裁判所(CAS)に異議を申し立てることができる。第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)の100メートルを制している24歳は、東京五輪の同種目金メダル候補だった。

 世界反ドーピング機関(WADA)の規則では、居場所の報告義務を怠るか、報告した場所におらずに抜き打ち検査を受けそこなうと、居場所に関するルールに違反したとみなされる。そしてこのルールに12か月の間で3回抵触すると、ドーピング違反になる。

 コールマンは世界陸上の直前に、2018年6月6日、2019年1月16日、同年4月26日に違反を犯していたことが発覚したが、このときは細かな規則を駆使し、違反日はその四半期の1日目として計算すべきだという主張が認められたため、最初の違反が2018年4月1日ということになり、12か月で3回のルールがぎりぎり当てはまらず処分を回避した。

 しかしその後、新たに同年12月9日にも違反を犯し、検査を受けられなかった1月と12月のケース、報告義務に違反した4月のケースの合計3回でドーピング違反となった。

 2年間の処分は、考慮すべき事情があれば1年に短縮して科される場合もあるが、今回はそうならなかった。委員会は「残念ながら、期間短縮の十分な根拠となる緩和要素はないと考える」「本件は、当該選手の控えめに言って非常に不注意な、もっと言えば無鉄砲な振る舞いに関するものだとみている」と報告している。(c)AFP