【10月29日 AFP】マレーシア人のトゥンクモハマド・アリマンソール(Tengku Mohamad Ali Mansor)さん(74)は、海岸に漂着した空き瓶を拾い集めることを15年前から使命としてきた。コレクションは数千本に及び、海岸沿いに自分で造ったカラフルな博物館に展示している。

 南シナ海(South China Sea)に面する入り組んだ沿岸に世界中から流れ着いた空き瓶は、形や大きさもさまざま。館内では棚や床に積み重ねられており、外にも空き瓶が山になっている。

 拾い集めた空き瓶は、約9000本。自宅の隣にある昔ながらの木造家屋を博物館に改装し、現在はそこに展示している。

 これまでに手紙が入っている瓶も2本発見した。1通にはハートの絵に漢字がいくつか書かれていた。もう1通は紙が破れてバラバラになっていたため、文字が判読できなかった。

 トゥンクモハマドさんは、自宅と博物館のある村ペナリク(Penarik)でAFPの取材に応じた。「始めたのは、海をきれいにするためです」「ガラスの破片で誰かがけがをしないように。割れたガラスが散乱するのを防いで、社会の役に立とうと思って」と語った。

 トゥンクモハマドさんが海岸での空き瓶集めに取りつかれるようになったのは2005年。きっかけは、子どもたちが空き瓶を花火で破裂させているのを見たことだった。粉々に割れたガラスでけがをする人が出るのを心配し、空き瓶を集めて来たら代金を払うと言った。子どもたちは500本を超える空き瓶を持って戻って来た。

 こうしてビーチでの空き瓶集めが始まった。コレクションが増えてくると、博物館を開くことにした。

 今年に入り、新型コロナウイルスの感染拡大対策としてロックダウン(都市封鎖)が実施された間は、欠けた陶器を接着する日本の「金継ぎ」と呼ばれる技法に似たやり方でガラスの破片をつなぎ合わせて瓶を装飾するのに夢中になった。

 生きている限りは、海岸で拾った空き瓶を集める活動を続けていこうと思っている。

「人には、頭がおかしいと思われているが、気にしない」とトゥンクモハマドさん。「アラーの神は私がしていることをご存じだ。私がこういう活動をしているのは、この世界を愛しているからです」

 映像は9月12日撮影。(c)AFP