■「いつも忘れられている」

 こうした地区の学校には冬でも暖房がない。黒人の失業率は白人より少なくとも2倍は高く、レーンさんのブロックの住宅価格は推定2万ドル(約210万円)以下だ。

 ジャーナリストで作家のローレンス・レナハン(Lawrence Lanahan)氏はAFPの取材に、ボルティモアの分断を最もはっきり示しているのは、平均余命だと語った。市北部の白人富裕層地区で生まれた子どもは、東部の貧しい黒人地区で生まれた子どもより約20年長生きするという。

 ボルティモア市当局に対し、黒人地区に巨額の補償金を払うことや、最も困難な地区の再活性化に向けた大型プロジェクトのために地元運営の基金を創設することなどを求める専門家もいる。

 だが、ボルティモア市東部に住むアフリカ系米国人、エドモンド・ハーグローブ(Edmond Hargrove)さん(43)は、この地区の悲惨な状況を必ず解決してみせると誰が誓おうとも、変わることはないと語る。「われわれはいつも忘れられている。彼らはいろいろ約束はする。(中略)だが、6か月後には元通りだ」

 映像は12日撮影。(c)AFP/Joshua MELVIN