【10月27日 AFP】ひつぎや銃の写真、殺害や暴力の脅し──タイで続く民主デモでこれまでタブーとされていた王室改革を求める声が上がっていることに対し、熱烈な王室支持者らは態度を硬化させ、オンラインで攻撃的な投稿をするなど反撃に出ている。投稿には、数千の「いいね」が付くこともある。

 あるフェイスブック(Facebook)の投稿は、人権派弁護士で著名活動家であるアノン・ナムパー(Anon Numpa)氏を罵倒。「王室を侮辱するやつらは死に値する!」「お前らみたいな人間はタイにはいらない!」と書いていた。

 ソーシャルメディア上では、ライフルを構えた男性が「いかなる代償を払っても」王室を守らなければならないと主張するものや、民主活動家の横にひつぎを合成した画像を掲載するなど暴力を示唆して脅す投稿も拡散されている。

 王室支持派団体タイ・パックディー(Thai Pakdee、忠実なタイ人)の創立者で元国会議員のワロン・デーチャキットウィグロム(Warong Dechgitvigrom)氏(59)はAFPの取材に対し、自分たちの仲間は平和的だと主張する。

 ワロン氏は、王室は社会の安定のために必要だとし、タイの若者は「洗脳されている」と批判した。

 タイの権力の頂点に立つマハ・ワチラロンコン(Maha Vajiralongkorn)国王と、その父で在位70年に及んだプミポン・アドゥンヤデート(Bhumibol Adulyadej)前国王の影響力は社会のあらゆる面に浸透しており、王族は世界有数の厳しさで知られる不敬罪で守られている。

 欧州で過ごす時間が多いワチラロンコン国王は、これまで抗議デモについて公に言及したことはない。しかし国王とスティダー王妃(Queen Suthida)は23日、公式行事に出席後、王室の儀礼を破り支持者らと交流してみせた。フェイスブックに投稿された動画で国王は、反政府デモでプミポン前国王夫妻の肖像を掲げたという支持者の男性に話し掛け、「とても勇敢だ。素晴らしい。感謝する」と称賛した。

 タイの過去の民主派運動を研究してきた豪クイーンズランド大学(University of Queensland)のパトリック・ジョリー(Patrick Jory)氏はAFPに対し、1970年代、90年代そして2010年の抗議活動を例に挙げ、「王室が脅威を感じると、(国は)常に暴力で対処してきた」と述べた。

 さらに同氏は、タイの軍と富豪一族は絶大な権力を握っているが、「彼らのすべての利益だけではなく、実際にはタイ社会における個人的地位も王室によって保証されて」おり、王室改革が実現すればこれらが脅威にさらされると指摘した。(c)AFP/Sophie DEVILLER and Pitcha DANGPRASITH