【10月27日 AFP】2012年ロンドン・パラリンピックの陸上男子400メートル(T44クラス)で銀メダル、200メートル(同)で銅メダルを獲得したブレーク・リーパー(Blake Leeper、米国)について、スポーツ仲裁裁判所(CAS)は26日、来年の東京五輪で義足を着けて出場することを認めない裁定を下した。

 生まれつき膝から下の両脚がない31歳のリーパーは、同年のロンドン五輪に参加した「ブレードランナー」の異名を持つオスカー・ピストリウス(Oscar Pistorius、南アフリカ)に続く五輪出場を目指していたが、2月にワールドアスレティックス(World Athletics、世界陸連)から、ブレードの形をした義足で競技することを禁止され、それに異議を唱えていた。

 CASは世界陸連の決定は「違法で無効」であるというリーパーの主張を支持した一方で、2017年に400メートルでピストリウスの世界記録を破った同選手に対し、これらの義足が「競技上のアドバンテージ」をもたらしていると判断した。

 リーパーは昨年の全米選手権(2019 USATF Outdoor Championships)で5位に入り、代表リレーチームのメンバーに選ばれるはずだったにもかかわらず、世界陸連は同年10月に開催された第17回世界陸上ドーハ大会(17th IAAF World Championships in Athletics Doha)で同選手が走るのを禁止した。

 担当弁護士はCASがリーパー側の言い分を基本的には認めながらも、主張を退けたことに不満を示し、この件を民事裁判に持ち込むことを検討していると明かした。

 また、五輪専門サイトのインサイド・ザ・ゲームズ(Inside the Games)に対して、使用された「身長に関するデータ」が人種差別的だとの考えを示し、「(CASは)コーカサス系およびアジア系アスリートの体型のみを基準として、競技用義足を人工的な身長の高さの制限対象とし、黒人の障害者アスリートに対する陰険な人種差別の手法を認めている」とコメントした。

 今回のCASの裁定は、「装具」がアスリートにアドバンテージを与えるものでないと判断するのは、今後は各競技連盟に委ねられることを意味している。(c)AFP