【10月27日 AFP】イスラム急進主義と「言論の自由」をめぐり、イスラム諸国とフランス政府が対立する中、在仏イスラム団体「仏ムスリム評議会(CFCM)」は26日、フランスでイスラム教徒は「迫害されていない」と述べた。

 仏政府とイスラム教徒の仲介役として公的に機能しているCFCMは、「フランスは素晴らしい国だ。ムスリムの市民は迫害されておらず、自由にモスクを建設したり、自由に自分たちの信仰を実践したりしている」と述べた。

 パリ郊外では今月16日、言論の自由に関する中学校の授業でイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を生徒に見せた歴史教師が、首を切断され殺害される事件が発生。これを受け、エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領はイスラム過激派の取り締まり強化を宣言した。

 しかし、イスラム教徒が多数を占める国々では先週末、マクロン氏の発言への反発から抗議デモが相次いで発生。シリアではマクロン氏の写真が燃やされ、リビアの首都トリポリでは、フランス国旗が燃やされた。カタールやクウェートではフランス製品の不買運動が展開され、ヨルダンやトルコなどの国々でも不買運動が呼び掛けられている。

 フランスがイスラム諸国から非難される中、CFCMのモハメド・ムサウイ(Mohammed Moussaoui)議長は26日、フランス国内のイスラム教徒へ向けて「国益」を守るよう訴え、「そうした運動を推進する人々は『イスラム教とフランスのイスラム教徒を守る』と主張しているが、われわれは彼らに分別をわきまえるよう求める……フランスに対するすべての中傷キャンペーンは逆効果であり、分断を生むだけだ」と述べた。

 また、多くのイスラム教徒が冒涜(ぼうとく)とみなす預言者ムハンマドの風刺画について、フランス法ではそうした風刺画を「憎む権利」も認められていると述べつつ、フランスは風刺画を描いたり宗教を風刺したりする権利を放棄しないとするマクロン大統領の姿勢を支持すると表明した。(c)AFP