【10月27日 AFP】ベルギー東部リエージュ(Liege)の病院職員たちは現在、欧州を見舞っている新型コロナウイルス流行の第2波との厳しい闘いを強いられており、中には検査で陽性反応が出ても勤務を続ける人々もいる。

 人口1150万人の小国であるベルギーは、第1波に続き第2波でも大きな被害を受けており、これまでに1万800人余りが死亡、32万人以上の感染が確認された。リエージュを含む南部ワロン(Wallonia)地域と首都ブリュッセルは現在、欧州での流行第2波の中心地となっている。

 リエージュ大学病院センター(CHU Liege)では、感染者を収容する集中治療室(ICU)の廊下に職員と患者があふれ、病室は3~5月の第1波より速いペースで埋まっている。ICU責任者のブノワ・ミセ(Benoit Misset)医師はAFPに、「私たちは負けており、圧倒され、憤慨している。こうなることは2か月前から分かっていたのに、時宜を得た決定が下されなかった」と語った。

 別のICUを率いる感染症専門医のクリステル・ムリ(Christelle Meuris)氏は「私たちは、最新の措置では(流行)曲線を平たん化できないのではないかと恐れている。津波が来ているのが見える」と述べた。

 ICUで働くある看護師は、3週間前に新型コロナウイルス検査で陽性になったが、勤務を続けなければならなかったという。「それ以外に選択肢はほぼなかった。症状はあまりなかった。上司に伝えると、『代わりになる人がいない。君には出勤してもらわないと』と言われた」。このICUでは職員23人のうち4人が陽性となったが勤務を続けている。

 ICU責任者のミセ医師も、自分たちは勤務を続けざるをえないと説明。「自分が看護師か医者で、病気にかかっても痛みがなく寝込んでもいなければ、マスクを着けるしかない。働かなければならない」と話した。

 ミセ医師は、新たなロックダウン(都市封鎖)措置の導入を強く支持し、ベルギーが流行第2波対策として講じた外出禁止令や飲食店閉鎖よりも有効だと考えている。

 ミセ医師はまた、夏の間も新型ウイルスの流行継続の兆しがあったのにもかかわらず「誰も状況を深刻に捉えなかった。政治家も、一般の人々もだ」と憤り、現在の状況を「塹壕(ざんごう)戦だ」と表現。違いは「爆弾ではなくウイルス」であり、「采配を振っているのはウイルスで、私たちでも、政治家でも、科学者でもない」と語った。(c)AFP/Françoise MICHEL