【10月23日 AFP】1986年に史上最悪の原発事故が起きたチェルノブイリ(Chernobyl)の立ち入り禁止区域内と、同じレベルの放射線にさらされたマルハナバチの繁殖能力が30~45%低下したとの研究結果が21日、発表された。研究者らは、これまで考えられてきた原子力の環境リスクの見積もりを再考するよう促している。

 英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B)」に掲載された研究は、電離放射線が昆虫に与える影響について調べた。昆虫は他の種に比べ、電離放射線に耐性があると考えられてきた。

 スコットランドとドイツの研究者らは、チェルノブイリの立ち入り禁止区域と同じ放射線レベルを実験室で再現、複数のハチのコロニーを被ばくさせた。この結果、コロニーの繁殖能力が、これまで昆虫には影響を与えないとされてきた放射線量だったにもかかわらず、30~45%低下したことが分かった。

 論文の筆頭著者で、英スターリング大学(University of Stirling)で環境汚染の講師を務めるキャサリン・レインズ(Katherine Raines)氏はAFPに対しメールで、「チェルノブイリで検出される放射線レベルにさらされると、コロニーで生まれる女王バチの数が著しく減少するとともに、コロニーの成長に遅れがみられた」と説明した。

 また、研究者らは「汚染地域における授粉と生態系サービスに影響が出る可能性があると予測している」という。(c)AFP