【10月23日 AFP】人は年を取るにつれて友人関係を厳選するようになるが、チンパンジーの雄でも同様の傾向がみられるとする研究論文が23日、米科学誌サイエンス(Science)に掲載された。

 米ミシガン大学(University of Michigan)の動物心理学者アレクサンドラ・ロサティ(Alexandra Rosati)氏が率いた今回の研究は、動物が年齢に応じた社会的選択を示す証拠を初めて提示したものとされ、人間の行動を理解する一助となる可能性がある。

 研究チームは、1995~2016年にウガンダ・キバレ国立公園(Kibale National Park)で実施された計7万8000時間分の膨大な観察データを利用し、15~58歳の野生のチンパンジーの雄21頭の社会的交流について報告した。対象を雄に絞った理由は、雌は性的に成熟すると大半が新たな群れに分散するが、雄は生まれた群れに残るからだ。

 チームはチンパンジー同士の親近感を研究するために「親近感指標」を作成し、チンパンジーを3つのグループに分けた。両者が互いに一緒に過ごすことを好む傾向を示す「相互的な友達関係」、一方だけが親近感を示す「一方的な友達関係」、それから、どちらも互いに親近感を示さない「非友達関係」だ。

 結果では、若い雄よりも高齢の雄の方が、真の友達関係が有意に多いことが示された。また若い雄同士の「ブロマンス(男性同士のプラトニックな親密さ)」の試みは、一方的に終わる場合がより多いことも示された。

 一例を挙げると、40歳の雄は15歳の雄に比べて、質の高い友達関係が平均で約3倍多く、一方的な関係は約3分の1だった。

 米アリゾナ州立大学(Arizona State University)のジョーン・シルク(Joan Silk)氏は論評で、今回の論文は「雄のチンパンジーは、人間が年を取るにつれて示す行動と酷似した振る舞いをすること、そしてこの傾向は他の霊長類にも存在する可能性があることを示す説得力のある証拠」を提示したと述べている。(c)AFP/Issam AHMED