■少女たちは、必要な道具さえ与えられれば成功する

 ベトナムの経済の中心地ホーチミンで数年過ごした後、ニエさんはモデルとしてチャンスをつかみ、それから間もなく、少数民族の女性として初めてミス・ユニバースのベトナム代表を射止め、突然、注目を浴びる。

 優勝したニエさんに対して差別主義者たちは、美しいというには肌が黒過ぎると難癖を付け始めた。だがバッシングされたことでニエさんは、貧困家庭に生まれた少女たちに学ぶ楽しさと自信を教えようという決意を強めた。

「我慢ならないのは、地元の人たちが何か言われること。私の出身地域の人たちを肌の色でけなさないでほしい。だから声を上げることにした」

 今では最大の応援者となった母親の助言に従い、ミス・ユニバースの賞金全額は学校に通う子どもたちの奨学金制度に充てた。

 ミス・ユニバースに出場して以来、ニエさんはベトナム中部の農村地帯に図書館をつくるため、またアジア・アフリカ全域の少女たちの中等教育修了を支援するため、数万ドルの資金を集めてきた。

 進学を望む、年齢が上の少女たちにも助言を行っている。

「学校に通っている女の子には、もっと勉強するといいよと勧めている。苦労していれば、学費の支援を申し出る」

 少女たちは、必要な道具さえ与えられれば、行く手を阻まれることなく成功する、とニエさん。「このメッセージを共有し、他の人たちの人生を変えたい」とニエさんは話した。

 映像は9月に取材したもの。(c)AFP/Alice Philipson and Tran Thi Minh Ha