【10月22日 AFP】ドイツ首都ベルリンにある有名な博物館島(Museum Island)で、芸術作品70点超に「油性の液体」がかけられる事件があった。警察が21日、明らかにした。ただ、被害を受けたのは半月以上前だという。

 被害が見つかったのは、国連教育科学文化機関(UNESCO、ユネスコ)の世界遺産(World Heritage)に登録されている博物館島内のペルガモン博物館(Pergamon Museum)、新博物館(Neues Museum)、旧国立美術館(Alte Nationalgalerie)で、開館時間内の犯行とみられている。

 ベルリン市警はAFPに対し、今月3日にこれら3館で貴重な絵画や石像、石棺に「油性の液体」がかけられる被害があったと明かした。作品に目に見える汚れが付いてしまったという。

 地元メディアは「ドイツ戦後史上最悪の芸術と古代遺産に対する攻撃」と報じている。

 被害は20日夜になってようやく報道された。博物館島、あるいは警察が被害についてより早期に公表しなかった理由や、犯行の動機は不明。

 一方で地元メディアは、政府の新型コロナウイルス対策を激しく非難している活動家のアッティラ・ヒルトマン(Attila Hildmann)氏が8、9月に、博物館島をめぐる奇妙な陰謀説を広めていたとしている。

 ヒルトマン氏はメッセージアプリ「テレグラム(Telegram)」の自身のチャンネルで、新型コロナウイルスの影響で夏の一定期間閉鎖されていたペルガモン博物館が「悪魔の王座」を入手したと主張。

 陰謀論を唱え、国際的な広がりを見せる「Qアノン(QAnon)」に呼応するように、ヒルトマン氏は博物館島が「悪魔崇拝者らとコロナ犯罪の世界的な中心地」となっており、そこで悪魔崇拝者らが「夜になると人間をいけにえにし、児童虐待に及ぶ」と述べていた。

 独日刊紙ターゲスシュピーゲル(Tagesspiegel)は、事件発生日とみられる3日に博物館入場券を予約していた人々に対し、警察が捜査への協力を要請していると伝えている。

 映像は21日撮影。(c)AFP