【10月21日 AFP】大気汚染による欧州各国の都市住民の負担が、長期および短期的健康への影響から、毎年1660億ユーロ(約20兆7000億円)に上っていることが、21日に発表されたCEデルフト(CE Delft)の報告書で明らかになった。

 CEデルフトは、400以上の都市の大気の質、保健および運輸データを分析した。この結果、2018年の化石燃料による大気汚染の市民1人当たりの平均費用負担額は1250ユーロ(約15万6000円)だった。これは市民の年収の約4%に当たるという。

 研究では、各都市の大気汚染と関連する10以上の健康要因を調べ、排ガスと工場の煙が市民に与える「社会的負担」を定量化した。

 これによると、完全なデータが入手可能だった最新年である2018年では、調査対象となった都市住民1億3000万人の負担額は1660億ユーロだった。

 絶対的に大気汚染による社会的負担が最も高かったのは英首都ロンドンで、損失は113億8000万ユーロ(約1兆4000億円)に上った。次いで、ルーマニアの首都ブカレストが63億5000万ユーロ(約8000億円)、ドイツの首都ベルリンが52億4000万ユーロ(約6500億円)の順。

 社会的負担の大半は、都市住民の早期死亡リスクの増大に関連していた。

 報告書によると、都市部の大気汚染は農業や家庭の暖房、産業など複数の要因がある他、自動車の利用増加と社会的負担の増加に明確な関連がみられた。

「(車の)通勤利用と台数を減らせば、大気の質にプラスの影響を及ぼし、大気の質が低い都市の社会的負担を減らせることが裏付けられた」と報告書は指摘している。(c)AFP