【10月21日 AFP】フランス・パリ郊外で中学校の教師が首を切断され死亡した事件で、教師に対する反対運動をインターネット上で展開していた保護者の男性が事件前、容疑者の男と接触していたことが分かった。警察筋が20日、AFPに対し明らかにした。

 先週起きたこの事件では、授業でイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を見せたことを理由に教師のサミュエル・パティ(Samuel Paty)さんが殺害され、ロシア・チェチェン(Chechnya)共和国出身のアブドゥラフ・アンゾロフ(Abdullakh Anzorov)容疑者(18)が警察に射殺された。

 ジャンミシェル・ブランケール(Jean-Michel Blanquer)国民教育相は20日、パティさんに同国の最高勲章「レジオン・ドヌール(Legion d'Honneur)」を死後叙勲すると発表。当局は一方でイスラム過激派への取り締まりを強化しており、これまでに16人が身柄を拘束されたほか、モスク(イスラム礼拝所)1か所が閉鎖を命じられた。

 警察筋によると、現在警察に拘束されている保護者の男性は、パティさんのクラスの女子生徒の父親。パティさんが表現の自由に関する授業でムハンマドの風刺画を生徒に見せたことを娘から聞き、パティさんの解雇を要求し、ネットで反対運動を展開して人々に「結集」を呼び掛けていた。

 男性は事件前、自身の電話番号をフェイスブック(Facebook)に掲載し、アンゾロフ容疑者とワッツアップ(WhatsApp)でメッセージをやり取りしていたほか、パティさんの教材選択を非難する動画を公開していたという。

 今回閉鎖が命じられたモスクは、この動画をフェイスブック上で共有していた。内務省によると、モスクは21日夜から半年間にわたり閉鎖される。

 20日にパリ郊外を訪れたエマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は、イスラム過激派の取り締まり強化を表明。パティさん殺害に「直接関与」したとして、イスラム原理主義組織ハマス(Hamas)を支持する団体「シャイク・ヤシン(Cheikh Yassine)」を解散させる意向を表明した。

 同団体はハマス設立者にちなんで名付けられた組織で、パレスチナを支援している。過激思想を持つ創始者は現在、ユーチューブ(YouTube)にパティさんを中傷する動画を投稿した疑いで、警察に拘束されている。(c)AFP/Alexandre HIELARD, Mariëtte Le Roux