【10月20日 AFP】秋を迎えた英イングランド南西部ドーセット(Dorset)の農場で、英国のクリスマスディナーの主役となる七面鳥が好物のリンゴをつついている。新型コロナウイルス流行下での少人数パーティーを想定した、例年よりも小ぶりの品種だ。

 広さ180ヘクタールの農場を営むマーク・チルコット(Mark Chilcott)さん(58)は、量よりも質を重んじて有機農業を行っている。

 今年の春、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)が発生し、政府が屋内での集まりに人数制限を課した時、年末まで規制が緩和されることはないだろうとチルコットさんは予想した。

 そこで4月にクリスマス用の七面鳥のひなを選ぶ際、雄ではなく雌を中心に「ブロンズ種」の小ぶりのひなを選び、飼育する数も昨年の1500羽から1200羽に減らした。

 雌の重さは成鳥になっても雄の半分の5~6キロで、スーパーマーケットで売っている特大の七面鳥の3分の1ほどだ。

 新型ウイルスの新規感染者数が高止まりする中、英政府は感染拡大抑制策として7人以上の集まりを禁じる「6人ルール」を実施しているが、この人数制限に従ったパーティーならば小ぶりの七面鳥でも十分だとチルコットさんは言う。

「小ぶりの七面鳥が足りないと、みんながクラウン(胸肉)やジョイント(塊)、ハーフ(半身)を買うことになるだろう」というチルコットさん。「今年は簡単に売り切れそうだ。需要はとても好調で、この調子だと売り上げは昨年を上回りそうだ」

 一方、クリスマスシーズンまでに規制が緩和されると考え、誤った方に賭けてしまった農家では、大ぶりの七面鳥を抱え込む恐れがある。家族だけの少人数のパーティーでは大ぶりの七面鳥は余ってしまい、クリスマス明けのカレーやサンドイッチにするしかなさそうだ。

 英家禽(かきん)評議会(British Poultry Council)のリチャード・グリフィス(Richard Griffiths)代表は、大ぶりの七面鳥を飼ってしまった農家に対し、成長しきる前に早めに食肉処理し、冷凍することを勧めている。

 映像は14日撮影。(c)AFP/Jitendra JOSHI