【10月19日 AFP】大統領選を2週間後に控えた西アフリカのコートジボワールで民族間の衝突が発生し、野党の大統領候補の自宅が燃やされ、少なくとも2人が死亡した。目撃者らが18日、明らかにした。大規模な紛争に発展する恐れが懸念されている。

 衝突は16日、経済の中心地アビジャン(Abidjan)から北に200キロ離れたボングアヌー(Bongouanou)の市内と周辺地域で起きた。同市は、野党の大統領候補パスカル・アフィ・ヌゲッサン(Pascal Affi N'Guessan)元首相の地盤だ。

 目撃者らによると、野党支持派とみられているアグニ(Agni)人の地元商人1人が殺害され、アラサン・ワタラ(Alassane Ouattara)大統領を支持する北部出身のイスラム系民族ジウラ(Dioula)人1人も死亡した。現地のAFP記者によれば、ボングアヌー市内では店舗や飲食店が略奪と放火の被害に遭い、車も数台が放火された。また、ヌゲッサン氏は17日、ボングアヌーにある自宅が全焼したとAFPに語った。

 コートジボワールでは、ワタラ氏が3期目を目指して大統領選に出馬する意向を表明したことを受け、8~9月に複数の都市で民族間衝突が発生し、15人前後が死亡している。大統領選をめぐっては、ローラン・バグボ(Laurent Gbagbo)前大統領を含む数十人の候補者が立候補を認められなかった。

 野党側は、選挙運動への不参加を呼び掛けるなど投票ボイコットの可能性を示唆しており、ヌゲッサン氏を含む著名人らがここ数週間「市民的な不服従」を訴えている。こうした呼び掛けに応じたヌゲッサン氏を支持する若者らが16日、ボングアヌーの2つの幹線道路上を封鎖したことから衝突が起きた。

 アグニ人とジウラ人は、互いに衝突の原因は相手側にあると主張している。

 コートジボワールでは2010~11年、大統領選後の暴動で3000人が死亡し、国内が大混乱に陥った。今回の衝突に、同様の事態に発展しかねないと懸念する声が上がっている。

 ボングアヌー市内では18日、なたや刃物、鉄の棒、ゴム銃などで武装したアグニ人の若者たちがヤシ酒を飲みながら歩き回り、多数の住民らが徒歩で逃げだす様子が確認された。(c)AFP/Patrick FORT