【10月19日 AFP】英ロンドンで2019年11月に刃物を持った男が2人を殺害、3人を負傷させた事件で、収監施設を離れて作業などを行う「デーリリース(一日解放)」中に現場に居合わせ、イッカクの牙で男を取り押さえた受刑者が、エリザベス女王(Queen Elizabeth II)の介入によって刑期を短縮される見通しになった。英PA通信(Press Association)などが伝えた。

 2019年11月29日、ロンドン中心部のロンドン橋(London Bridge)でウスマン・カーン(Usman Khan)容疑者が事件を起こした時、スティーブン・ギャラント(Steven Gallant)受刑者は、更生した受刑者向けのイベントに参加するため、デーリリースでロンドン橋の北にある歴史的建造物、フィッシュモンガーズ・ホール(Fishmonger's Hall)にいた。

 ギャラント受刑者と市民たちは、警察が容疑者を射殺するまでの間、フィッシュモンガーズ・ホールにあった長さ1.5メートルのイッカクの牙と消火器で容疑者を取り押さえ、さらなる凶行を防いだ。

 PA通信によると、英司法省は17日、エリザベス女王がほとんど前例のない「恩赦大権(Royal Prerogative of Mercy)」を行使し、ギャラント受刑者の件が10か月早く仮釈放審査委員会にかけられることになったと発表した。

 またPA通信は、「自身の生命に途方もない危険があるにもかかわらず、人命を守るためにフィッシュモンガーズ・ホールでなした極めて勇敢な行為に鑑み(中略)(英司法トップの)大法官が、スティーブン・ギャラントへの恩赦大権を認めた」と述べたとして、仮釈放審査委員会は最終的にギャラント受刑者を自由の身にする見通しだと伝えた。

 ギャラント受刑者はパブ前で消防隊員を殺害したとして、2005年に最低17年以上の禁錮刑を受けていた。(c)AFP