【10月19日 AFP】アラブ首長国連邦(UAE)とイスラエルのアーティストが一緒に歌う動画が話題だ。遠隔で共作し、UAEとイスラエルの国交正常化により生まれた初の音楽コラボレーションとなった。

 動画の舞台はUAEのドバイ(Dubai)からイスラエルのテルアビブに切り替わり、歌詞はアラビア語からヘブライ語、英語へと流れる。曲調は少しキッチュなエレクトロポップ。曲名の「アハラン・ビク(Ahlan Bik)」は、アラビア語で「こんにちは、あなた」という意味だ。

 イスラエル人歌手のエルカナ・マルツィアーノ(Elkana Marziano)さん(28)は「これは歴史的な瞬間だ」と語る。UAEのアーティスト、ワリード・アルジャシム(Walid Aljasim)さんと共同制作した動画は、9月30日にユーチューブ(YouTube)に投稿されて以来、再生回数110万回を超えた。

 マルツィアーノさんは米国のオーディションテレビ番組「ザ・ボイス(The Voice)」のイスラエル版で優勝した経歴を持つ。アラビア語を話し、アラブ諸国のユダヤ人、ミズラヒム文化の影響を受けている。

 マルツィアーノさんがAFPに語ったところによると、アルジャシムさんとはビデオ会議サービス「ズーム(Zoom)」でやり取りし、曲は部分的にドバイで、他の部分をイスラエルで収録したという。マルツィアーノさんはお互いの関係について「すぐに理解し合った」と話した。

 シェイクト・シャロン(Shaked Sharon)の名前でオンライン上に投稿されたコメントには「この曲で新しい中東を感じられる」と書かれていた。

 イスラエルとUAEは長年にわたり経済と安全保障の分野で控えめな協力を続けてきたが、今年8月、米国の仲介により国交正常化で合意したと発表した。(c)AFP