【10月19日 AFP】仏パリ郊外で教師のサミュエル・パティ(Samuel Paty)さんが首を切断され死亡した事件を受け、フランス各地で18日、大規模なデモが行われた。パリ中心部のデモには数千人が参加。授業でイスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を見せ殺害されたパティさんに連帯を示した。

 パリ中心部のレピュブリック広場(Place de la Republique)では、デモ参加者らが「思想の全体主義に反対」「私は教師」などと書かれたポスターを掲げた。同広場のデモに参加したジャン・カステックス(Jean Castex)首相はツイッター(Twitter)に、「私たちを怖がらせることはない。私たちは恐れていない。私たちを分断させることはない。私たちがフランスだ!」と投稿した。カステックス氏とともに、ジャンミシェル・ブランケール(Jean-Michel Blanquer)国民教育相、アンヌ・イダルゴ(Anne Hidalgo)パリ市長、内務省のマルレーヌ・シアッパ(Marlene Schiappa)副大臣も同広場のデモに参加。シアッパ氏は「教師、教育宗教分離論、表現の自由を擁護する」ために参加したと語った。

 2015年にイスラム教の預言者ムハンマドの風刺画を掲載し12人が殺害された仏風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)本社襲撃事件の際、世界中に広まった「私はシャルリー」に共鳴し、デモ参加者の中には「私はサミュエル」と繰り返し唱える人もいた。他にも、デモ参加者は大きな拍手喝采の合間に「表現の自由、教える自由」と声をそろえて訴えた。

 この日、仏南部ニース(Nice)でも数百人が集まりデモを開催。ニースは2016年7月14日の革命記念日(Bastille Day)、群衆にトラックが突っ込み86人が死亡した事件が起きた場所だ。デモに参加した学生のヴァランティーヌ・ミュール(Valentine Mule)さん(18)は「現代、誰もが危険にさらされている」と述べ、変革を訴えた。現地当局によると仏東部のリヨン(Lyon)でも約6000人が集まり、南部トゥールーズ(Toulouse)では約5000人が集結。他の都市でもデモが予定された。

 パティさんは16日午後、パリ郊外にある勤務先の学校からの帰途、男に襲われ首を切断され殺害された。(c)AFP