【10月17日 AFP】(更新)仏パリ郊外で16日、男が男性教師の首を切断し殺害する事件があった。警察は容疑者の男を射殺。中学校の歴史教師を務めていた男性は最近の授業で、イスラム教の預言者ムハンマド(Prophet Mohammed)の風刺画を見せていた。エマニュエル・マクロン(Emmanuel Macron)大統領は「イスラム過激派のテロ攻撃」だとの見解を示した。

 事件は同日午後5時(日本時間17日午前0時)ごろ、パリ西郊コンフランサントノリーヌ(Conflans Saint-Honorine)の学校近くで発生。捜査関係者によると、学校付近に不審人物がうろついているとの通報を受けて出動した警察が、男性の遺体と、近くでナイフのような凶器を持った男を発見した。警察が身柄拘束を試みたところ、男が威嚇してきたため発砲し、男は重傷を負った。司法関係者によると、男は後に死亡が確認された。

 現場は立ち入りが制限され、警察関係者によると、爆弾付きベストの存在が疑われることから、爆弾処理班が出動した。検察は「テロ組織に関連した殺人」と「テロリストとの犯罪的関連」の疑いで捜査が行われていると説明した。警察筋によると、容疑者の男は警察と対峙(たいじ)した際、イスラム過激派が襲撃事件を起こす際によく口にする「アラーアクバル(アラビア語で神は偉大なりの意)」との言葉を叫んだという。

 マクロン大統領は現場近くで会見し、事件は「イスラム過激派のテロ攻撃」の特徴をはっきり示していると指摘。動揺した様子を見せながら、「国全体」を挙げて教師を守ると表明し、「反啓蒙(けいもう)主義は勝利しない」と述べた。

 学校の保護者がAFPTVに語ったところによると、男性教師は授業でムハンマドの風刺画を見せる前に、イスラム教徒の生徒に退出を促していた。「息子によると、先生はとても感じが良く、フレンドリーで、優しかった」と保護者は説明。「(男性教師は)イスラム教徒の生徒に『教室を出なさい。皆さんの気分を害したくない』と告げていた」と語った。

 パリでは先月下旬、風刺週刊紙シャルリー・エブド(Charlie Hebdo)の元本社前で、パキスタン人の男が肉切り包丁で2人を刺傷する事件が発生。男は同紙によるムハンマドの風刺画掲載に対する報復として犯行に及んだ。

 刺傷事件の3週間前には、2015年にシャルリー・エブド紙本社とユダヤ系スーパーマーケットで起きた襲撃事件の共犯者とされる被告の公判が始まっていた。フランス国内では公判の開始を受け、同紙と仏政府に対する抗議デモが各地で行われた。

 仏内務省によると、モロッコを訪問中のジェラルド・ダルマナン(Gerald Darmanin)内相は事件発生を受け、ジャン・カステックス(Jean Castex)首相とマクロン大統領と協議を行い、急きょ帰国することを決めた。(c)AFP