【10月16日 AFP】中国東部の嘉興(Jiaxing)市で、新型コロナウイルス感染症の実験的ワクチンの提供が、一部の市民を対象に始まった。保健当局が明らかにした。2回接種で費用は400元(約6300円)だという。中国国内における未認可ワクチンの大規模投与の詳細が公表されたのは、これが初めて。

 市関係者らが15日に明かしたところによると、18~59歳の「急を要する住民」が受診先の病院で希望すれば、中国の製薬会社シノバック・バイオテック(Sinovac Biotech)のワクチン接種が可能だという。当局はこれまでにも、同社のワクチンを医療従事者などに投与してきた。

 ただ「急を要する」という基準の具体的な内容については言及されておらず、これまでに接種済みの人数も不明。1回目の接種から28日以内に2回目の接種が行われ、費用は2回分で合わせて400元としている。

 当局によると、中国国内では既に、港湾労働者や病院勤務者など高リスクの現場で働く数十万人に対して実験的ワクチンが投与されているという。

 中国国産ワクチンのうち、11種類の臨床試験が進んでおり、うち4種類は最終段階の第3相試験に入っているとはいえ、市場への大規模流通の認可を受けたワクチンはまだない。

 公衆衛生上および経済上の危機からの復活劇を強調したい中国は、武漢(Wuhan)で初めて確認された新型コロナウイルスに対するワクチンの世界的な開発競争に何としても勝ちたいと、意欲を示している。(c)AFP