【10月16日 AFP】オーストラリアの綿花生産団体は16日、中国が綿花を輸入規制の標的にし始めていると明らかにした。両国の関係悪化を背景に中国はこれまで、オーストラリア産の石炭、ワイン、牛肉、大麦を輸入規制対象としてきた。

 同団体は、中国が最近、国内の紡績工場に対しオーストラリア産の綿花を使わないよう指導していることは明らかだと指摘した。

 オーストラリアから中国への綿花の輸入は、中国が米国からの輸入綿花に対し関税を大幅に引き上げたことから、年間輸入総額は約10億豪ドル(約750億円)規模に拡大している。

 オーストラリアのデービッド・リトルプラウド(David Littleproud)農業・干ばつ・危機管理相は、中国に対し状況を明確にするよう求めるとともに、世界貿易機関(WTO)の定める公平な貿易の義務を守るよう示唆した。

 オーストラリアと中国の関係はここ数年、悪化の一途をたどっている。オーストラリア政府は中国が国内で政治的弾圧を強めていることに異議を唱えている一方、中国政府はアジア太平洋地域で政治的、軍事的、経済的影響力を一層強めている。

 スコット・モリソン(Scott Morrison)首相は今年、「オーストラリアは自由貿易の国だが、いかなる強制があったとしても、それによってわれわれの価値観を取引するつもりは一切ない」と述べている。(c)AFP