【1月4日 AFP】メキシコ北部の砂漠で孤立した共同体を営むキリスト教プロテスタントの一派が、インターネットを通じておそるおそる外界とつながり始めた。そして全世界がウイルスのパンデミック(世界的な大流行)にのみ込まれていることを発見した。

 チワワ(Chihuahua)州エルサビナル(El Sabinal)に住むメノー派(メノナイト、Mennonite)の人々は伝統的に電気やテレビ、携帯電話、自動車、さらには馬車につけるゴム製タイヤも使わずに生活してきた。

 しかし、砂ぼこりをかぶった辺境の村にも近代化の波がやって来た。この共同体でも若者の一部がインターネットに「誘惑」されている。そんな彼らが、メキシコをはじめ全世界を揺るがしているパンデミックのことを知ったのは、ごくたまにインターネットに接続していたときだった。

 新型コロナウイルスの流行前から自主的に隔絶された生活を送っていたにもかかわらず、メノー派の村人らはここにもウイルスが到達したのかもしれないと考えている。

 村のある店員は「重症ではないが、別々の家族の約10人が病気になった」とAFPに語った。「皆、インフルエンザだと思ったが、薬局に行くと、それは新型コロナウイルス感染症(COVID-19)だと告げられた」という。

 病人らは医者に行かず、検査も受けなかったが、共同体の一員でもある薬剤師の助言に従い自主隔離を行った。

 メノー派の人々は外の社会とはほとんど取引をしないが、農産物などを売りに近隣の集落などを訪れてはいるので、そこでウイルスに暴露した可能性があると考える人もいる。