【10月17日 AFP】中国天津(Tianjin)にある「チンギス・セキュリティー・アカデミー(Genghis Security Academy)」で受講生らは、現代の新富裕層にとっての脅威は、殺し屋ではなくハッカーであることを学ぶ。同アカデミーによると、ここは、同国唯一のボディーガード育成のための専門学校だ。

 受講生らは毎日黒のビジネススーツを身にまとい、夜明けから真夜中までトレーニングに励む。講習では、格闘や武器の訓練、高速運転など従来の警護術に加え、デジタル防衛も扱われている。

 毎年、約1000人がアカデミーを卒業。卒業生らは、急成長する同国の新富裕層のボディーガードを目指す。ボディーガードの年収は7万ドル(約740万円)にのぼることもあり、これは会社員の年収の数倍にあたる。

 設立者のチェン・ヨンチン(Chen Yongqing)氏は、ここでの規律は軍隊よりも厳しいとし、成功するためには最善を尽くすしかないと述べた。

 質素な屋内運動場で、受講生らは列をなしてトレーニングに臨む。プラスチックの青い銃を構え、前を見据えて、窓が割れた黒いアウディ(Audi)に警護対象者を安全に乗せる。ジムでは、おそろいの赤いTシャツを着てボクシングの特訓だ。

 ペアで侵入者から「クライアント」を守る訓練をする一幕も。教官が「危ない!」と叫ぶと、素早く「ボス」の前に立って同時に銃を構える。2秒以内にできないと、50回の腕立て伏せが科される。

 監視が行き届き、路上犯罪の発生率が低い同国では、ボディーガードには当局の監視やプロのハッカーに対抗する技能が求められる。携帯電話のハッキング阻止、インターネットの安全性確保、盗聴者探し、データの消去などだ。

 受講生のズー・ペイペイ(Zhu Peipei)さん(33)は、山西(Shanxi)省出身の退役軍人。ボディーガードになれば、専門的なスキルや学歴の不足を補えると期待している。

 ペイペイさんは「もちろん、かっこいいしね」と続けた。

 映像は9月撮影。(c)AFP/Ye QIAN and Helen ROXBURGH