【10月16日 AFP】ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領と民主党の大統領候補ジョー・バイデン(Joe Biden)前副大統領は15日、同時刻に別の場所で有権者との対話集会に臨み、その様子はそれぞれテレビ中継された。トランプ氏は好戦的で、時に興奮気味に自身の新型コロナウイルス対応を擁護。バイデン氏は対照的に落ち着いた様子で、「何もしなかった」とトランプ氏のコロナ対応を批判した。

 11月3日の投票日を前に世論調査で後れを取るトランプ氏にとって、21万7000人の命を奪い経済にも深刻な打撃を及ぼしている新型コロナウイルスは大きなプレッシャーとなっている。

 フロリダ州マイアミで米NBCニュース主催の対話集会に参加したトランプ氏は、これまでの政権の政策を猛烈に擁護。国内の広範囲で新規感染者数が急増しているにもかかわらず、流行の終息は「すぐそこだ」と、いつもの楽観論を展開した。

 だが、米極右勢力を非難する姿勢の甘さを司会者に指摘されると、トランプ氏はたちまちいら立ちを見せた。

 トランプ氏は中でも、同氏が各国政府を牛耳る謎のエリート集団とつながった「ディープステート(闇の政府)」と闘っているなどの陰謀論を主張する極右グループ「Qアノン(QAnon)」を糾弾することを拒否。「私はQアノンについて何も知らない」が「小児性愛に極めて批判的」な点は好きだと述べた。

■バイデン氏は「結束」を約束、30分残って対話続行

 一方、ペンシルベニア州フィラデルフィア(Philadelphia)で開かれた米ABCニュース主催のバイデン氏の対話集会は、全体的に穏やかな同氏の選挙運動を反映したものとなった。

 バイデン氏は有権者の質問に、派手さはないが掘り下げた返答をし、党派間の対立で分断された米政界を超党派で立て直すと約束。また、トランプ氏の新型コロナ対応を着実に攻撃し、「米国では21万人超の死者が出ているが、彼は何をしている? 何もしていない。いまだにマスクも着けていない」と批判した。

 国内の深刻な政治的対立については、「互いに対応の本質を変えなければならない」「私が大統領になったら、まず…冗談ではなく…彼らに電話をかけ『集まろう』と言うつもりだ」と語り、繰り返し「結束」に言及。反対票を投じた人々も含め、全米国民の大統領になると述べ、「もし大統領にえらばれたら、人種を攻撃する発言も、分断をあおる発言もしない。結束を目指す」と約束した。

 バイデン氏は、対話集会終了後も壇上に30分間とどまり、さらに質問に答えた。

 当初15日には、トランプ氏とバイデン氏の第2回討論会が開催される予定だった。だが、トランプ氏の新型コロナ感染が判明したことから主催者がリモート開催を決定。トランプ氏がこの変更を拒否したため、討論会は中止された。(c)AFP/Michael Mathes and Sebastian Smith