【10月19日 AFP】ピザの宅配スタッフが、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の検査キット配達員に早変わり──オーストリアの首都ウィーンでは今月から、検査数を増やす新たな取り組みとして、自転車便を活用し始めた。

「ウィーンの街中では、僕らのほうが車より速い。渋滞もするっと通り抜けられるし、駐車場だって探さないで済むからね」。こう語るのは、9月末までは料理の宅配をしていた自転車便ライダーのマルクスさん(25)だ。

 配達先の民家では、マスクとゴーグル、新品の医療用手袋を着用したマルクスさんが一家全員にそれぞれ1杯分の生理食塩水を手渡し、検査の受け方を指示する。家族が食塩水で30秒以上うがいをし、それを試験管の中に吐き出すと、マルクスさんが1日8時間の勤務の終わりに研究所に届ける。

 他の欧州諸国と同様にオーストリアでも新型コロナ感染者数は急増しており、当局は対応に追われている。そして、国内の感染者のうち約3分の1が人口200万人のウィーンで確認されている。

 検査と感染者追跡の迅速化を図る市当局は、自転車便サービス「フェローツェ(Veloce)」と提携。現在、100人以上のライダーが毎日およそ1000人に、市が無料で提供する「うがい検査」を届けている。市は、月末までに配達員を約200人に増やす方針だ。(c)AFP