【10月15日 AFP】バチカンの裁判所で14日、予備神学校生時代に1つ年下の少年を5年間にわたり性的虐待したとされる28歳のイタリア人司祭と、この司祭をかばって当局の捜査を妨害したとされる71歳の司祭の裁判が始まった。

 ガブリエーレ・マルティネッリ(Gabriele Martinelli)被告は2007~12年、聖ピオ十世(St Pius X)予備神学校の構内で、1歳年少の下級生に対する性的虐待を繰り返したとされる。聖職者を志す少年たちが共同生活をするこの施設はバチカン市内にあり、フランシスコ教皇(Pope Francis)の住居にも近接している。

 バチカン検察当局によると、マルティネッリ被告は14歳の時、同じ予備神学校の1年生だった被害者(当時13)への性的虐待を始めた。「暴力や脅迫によって」被害者に「肉体関係を耐え忍ぶことを強要した」ほか、「バチカン市内のさまざまな場所で、時間帯を問わず同性愛行為や自慰行為」をさせたとして罪に問われている。

 虐待はマルティネッリ被告が19歳、被害者が18歳になるまで続いたという。被告は2017年に司祭になった。

 また、虐待があった当時この予備神学校の校長だったエンリコ・ラディチェ(Enrico Radice)被告は、「イタリアその他の国のさまざまな時と場所において、マルティネッリ被告が捜査を逃れる手助けをした」とされる。

 この性的虐待事件は、イタリア人ジャーナリストのジャンルイージ・ヌッツィ(Gianluigi Nuzzi)氏が2017年に出版した著書「原罪(Peccato Originale)」によって疑惑が明らかになり、捜査が始まった。

「原罪」の中では、被害者と当時同室だったポーランド人の元神学校生が、繰り返される性的虐待を目撃したと証言。マルティネッリ被告のことを指導教官らに告発し、他2人の神学校生と連名で枢機卿らに虐待を告発する書簡も送ったと告白していた。(c)AFP/Ella IDE