【10月30日 AFP】米ホワイトハウス(White House)から東に数千キロ離れたアイルランドの街に、米大統領選の民主党候補、ジョー・バイデン(Joe Biden)氏(77)を描いたポップアート風の肖像画が誇らしげに掲げられている。

 バイデン氏の祖先の故郷であるアイルランド、メイヨー(Mayo)郡バリナ(Ballina)。岩がちな大西洋岸にあるこの街で、バイデン氏の遠い親戚に当たる人々が、米国の最高職責を目指す同氏の挑戦に胸を躍らしている。

 バイデン氏のみいとこ、ラウリタ・ブルーイット(Laurita Blewitt)さん(37)は「私たちはもちろん100%、ジョー・バイデン支持です」と語った。「私たちには家族のつながり、それに彼との友情や絆があります」

 バイデン家のルーツはアイルランドにある。系図学者のメーガン・スモレニャク(Megan Smolenyak)氏によると、バイデン氏は「アイルランド人の血を8分の5程度」引き継いでいる。

 1851年、大飢饉(ききん)と貧困から逃れて米ニューヨークでの新たな生活を目指したアイルランド移民の中に、バイデン氏の祖父の3代前のエドワード・ブルーイット(Edward Blewitt)氏がいた。

■飛び火する米国の分断

 バリナは、バイデン氏が生まれた米ペンシルベニア州スクラントン(Scranton)と1942年に姉妹都市となった。

 前副大統領であるバイデン氏と、ドナルド・トランプ(Donald Trump)現大統領が激しい選挙戦を繰り広げる中、米国の分裂はアイルランドの片田舎にも飛び火している。

 やはりバイデン氏のみいとこで、配管工のジョー・ブルーイット(Joe Blewitt)さん(41)の仕事用のバンには、「ホワイトハウスにジョー・バイデンを、あなたのお宅にジョー・ブルーイットを」と米大統領選にかけたジョークが書かれている。

 そんなジョーさんのもとに、ヘイトメッセージが送られてくることがある。嫌がらせ電話もあった。米国アクセントの声の主は「トランプが大統領になるんだ」と言った。ジョーさんは「ヘイトがはびこっている」と嘆いた。

 一方、ラウリタさんは、トランプ政権の4年間で政治的慣習がすべてひっくり返されたが、大統領選でバイデン氏が勝利すれば、米国内外が「もう少し正常に」なるかもしれないと語った。「11月3日にここで、盛大に祝えることを願っています」と彼女はにこやかに笑った。(c)AFP/Joe STENSON