【10月15日 AFP】不毛の大地にしか見えないアフリカのサハラ(Sahara)砂漠やサヘル(Sahel)地域に、これまで知られていなかった豊かな緑が点在していることが、高精細衛星写真とディープラーニング(深層学習)技術を組み合わせた研究で明らかになった。英科学誌「ネイチャー(Nature)」(電子版)に14日、論文が掲載された。

 研究チームによると、西アフリカのサハラ砂漠やその南縁に広がるサヘル地域と乾燥半湿潤地域に、従来のイメージを覆す約18億本もの樹木が生えているのが分かったという。

 論文の筆頭著者を務めたデンマーク・コペンハーゲン大学(University of Copenhagen)の地理学者、マルティン・ブラント(Martin Brandt)氏は、「サハラ砂漠にこれだけ多くの木々が生えていることに、とても驚いた」とAFPに語った。

「もちろん、一本も木がない場所は広範囲に及ぶ。だが、木々が密集している場所もあり、砂丘の間にもあちこちに木が生えていた」

 米航空宇宙局(NASA)のゴダード宇宙飛行センター(Goddard Space Flight Center)が協力した今回の調査は、森林破壊を食い止める取り組みや土壌の二酸化炭素貯留量のより正確な測定の指針を示すデータを研究者や自然保護団体に提供するものだ。

 研究では、面積130万平方キロを対象に、1万1000枚を超える衛星画像を分析した。ディープラーニング技術の活用にはプログラムを訓練する必要があり、ブラント氏は丸1年かけて9万本近くの木を自ら数えて分類した。

 論文を査読した米ニューメキシコ州立大学(New Mexico State University)植物環境科学部のナイオール・ハナン(Niall P. Hanan)氏とジュリアス・アンチャン(Julius Anchang)氏は、今回用いられた技術について「一定の制限はあるものの、間もなく世界中の全ての木々の位置と大きさを地図化することが可能になるだろう」と述べている。(c)AFP/Sara HUSSEIN