【10月15日 AFP】サッカー元チェコスロバキア代表選手で、相手をあざ笑うチップキックのPKで知られるアントニーン・パネンカ(Antonin Panenka)氏が14日、新型コロナウイルス感染症(COVID-19)のため入院していた病院を後にした。

 パネンカ氏が名誉会長を務めるチェコ1部リーグ、ボヘミアンズ1905(Bohemians 1905)のウェブサイトで息子のトマシュ(Tomas Panenka)氏が、「本日午前11時に病院で父を拾い、自宅に連れ帰った」と明かした。

 現役時代にボヘミアンズやラピッド・ウィーン(Rapid Vienna)で司令塔を務めた71歳のパネンカ氏は先週、新型ウイルス検査で陽性反応を示し、重体で集中治療室(ICU)に入った。

 トマシュ氏は「もう陰性の結果が出ている。まだ肺炎の症状に苦しんでいるが、医師が病院に残る必要はないと言って退院させた」と続けた。

 チェコスロバキア代表の一員として1976年の欧州選手権(UEFA Euro)に出場したパネンカ氏は、西ドイツとの決勝で優勝を決める大胆なPKを決めて名を上げた。

 この時のPK戦でパネンカ氏は、ゴールにボールを蹴り込むのではなく、横に飛ぶGKゼップ・マイヤー(Sepp Maier)氏をあざ笑うチップキックを中央に流し込み、母国に優勝をもたらした。

 今では「パネンカ」と呼ばれるようになったこのテクニックは、ジネディーヌ・ジダン(Zinedine Zidane)氏やズラタン・イブラヒモビッチ(Zlatan Ibrahimovic)、アンドレア・ピルロ(Andrea Pirlo)氏といったレジェンドも見せたことがある。

 チェコでは現在、感染者数が記録的な増加を見せており、欧州連合(EU)加盟国の中でも最悪クラスの被害を出している。人口1070万人のチェコでは、13日の新規感染者が8000人を超え、パンデミック(世界的な大流行)となった3月以降では計13万人が感染し、1106人が死亡している。(c)AFP