【10月15日 AFP】アゼルバイジャンは14日、アルメニア国内からアゼルバイジャンの都市を攻撃していたミサイル発射装置を破壊したと発表した。係争地ナゴルノカラバフ(Nagorno-Karabakh)をめぐる両国間の紛争に地域大国のロシア・トルコを引き込む恐れを高める展開だ。

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 ナゴルノカラバフをめぐり2週間にわたり続いている戦闘では、これまでに数百人が死亡。先週にはロシアの首都モスクワで停戦合意が交わされた後も衝突は続き、合意は形骸化している。

 アルメニアは国内の軍展開地が攻撃を受けたことを認めたが、同国軍によるアゼルバイジャン領土への攻撃はなかったと主張。アルメニア側もアゼルバイジャン国内の軍施設に対する攻撃を開始する可能性があると警告した。

 アルメニア外務省はその後、アゼルバイジャンが停戦を拒否していると批判。アゼルバイジャンがトルコの支援を受けてアルメニアを攻撃し、紛争地域の「拡大」を企てていると主張した。

 アルメニアはロシアが主導する集団安全保障条約に加盟しているが、ロシア政府はこれまで、同条約はナゴルノカラバフには適用されず、アルメニア領土のみが対象となるとして介入を拒否してきた。

 アルメニア系住民が多数を占めるナゴルノカラバフは1990年代のソ連崩壊時に起きた紛争以降、アルメニア系住民によって支配されている。アゼルバイジャンは同地の奪還を目指す意向を繰り返し表明。ナゴルノカラバフの独立宣言を承認している国は今のところない。

 アルメニアのニコル・パシニャン(Nikol Pashinyan)首相は14日、北部・南部の各前線で分離派の部隊が撤退を強いられたと認め、状況は「非常に深刻」だと表明。国民向けテレビ演説で、「われわれは敵を阻止するために団結し、カラバフの独立を実現しなければならない」と呼び掛けた。(c)AFP/Dmitry ZAKS and Aris MESSINIS in Stepanakert