【10月15日 People’s Daily】初秋、標高2000メートル以上の中国雲南省(Yunnan)漾濞(Yangbi)イ族自治県の光明村では、クルミの木が果てなく続く光景が見られる。漾濞では森林被覆率が83%に達し、クルミは県の支柱産業となっている。ここ数年、干しクルミの値段は1kgあたり30元(約470円)あまりから10元(約150円)あまりに下落し、村は発展戦略を変更し始めた。村の美しい環境を利用し、村中を巻き込んでエコツーリズムを起こしたのだ。

 農家ホームステイ施設のオーナー、李斌(Li Bin)さんは今年30歳を超える。以前はインターネットでクルミを売っていたが、今は農家ホームステイ施設のオーナーとなった。

 以前から、陸の孤島であったために村民の生活は厳しかった。2008年に光明村にも舗装道路が通ったので、クルミ祭りを開催し、クルミの価格が上昇するにしたがって、村民の生活は改善していった。

 李斌さんは2014年に光明村に帰ってきて、eコマースでクルミの苗木と農産物を売る仕事をした。当時、クルミの価格が下落しはじめた。クルミは高いところにあるから、人の手で収穫の作業をしなくてはならないためコストを下げられず、クルミの元手を回収できない農家も出てきた。

 2015年から、光明村は観光開発企業を誘致してエコツーリズムを始めた。2019年、村人の観光産業収入は200万元(約3000万円)に迫った。この年、李斌さんも農家ホームステイ施設を始めた。

 光明村の近年の発展には、政府の助力が不可欠だった。2008年から自治県では多くのプロジェクトが光明村に割かれ、道路網や駐車場、景観や公衆トイレなどの設備が整備された。
観光開発企業を誘致してから、現代的な景観区が次第に完成され、旅行客の数が大幅に増えた。

 観光会社の運営のもと、光明村は四季折々の花畑や芝生のカフェを造った。村民たちは家のすぐそばで職を得て、大幅に収入が増えた。土地の経営権を投資することが増収に繋がった地区もある。

 村の共産党支部書記である楊雪明(Yang Xueming)さんによれば、「クルミ宴会」を習っている村民が多く、「60人の定員で、2日で埋まった」という。県当局は各種無料の職業訓練班を組織し、観光サービスの水準を上げるのをサポートする。「村民の言葉遣いや振る舞いも変化が見えます。前は人見知りが激しかった村民も、いまは観光客と自然に交流するようになりました」と楊雪明さんは語る。

 クルミ園グループの村民、楊建(Yang Jian)さんは、光明村生態系管理委員会の副主任であり、同時に山岳保護隊の隊長でもある。「現在は、動物の密猟や樹木の違法伐採などは鳴りをひそめました」と、楊建さんは語る。「伐採や放牧を禁じて森林育成をした結果、荒れ地には木が育ち、鹿やキジ、熊などがよく見られるようになりました。光明村に検査ステーションができ、9人の隊員が順番に山をパトロールしています」

 楊建さんが所属する生態系管理委員会は光明村が設ける自治委員会のひとつだ。水源河川・道路交通・民俗・環境衛生・生態系管理・計画管理・人々の調停・治安維持の8つの委員会を設け、委員は全て意欲ある村民が務める。(c)People's Daily/AFPBB News