【10月24日 AFP】神話に登場する生き物から皇帝の像まで、世界最大級の古代彫刻の個人コレクション「トルロニア・コレクション(Torlonia Collection)」が修復作業を終え、伊ローマで一般公開されている。

 同コレクションはバチカンの財政管理を担い財を成したフランス系イタリア貴族トルロニア(Torlonia)家が所有するもので、ギリシャ時代とローマ時代の620作品のコレクションのうち90点超が、14日からカピトリーニ美術館(Capitoline Museums)で展示されている。

 コレクションはローマ中心部にある工房で3人の専門家らによって、大理石の染み抜きや修復が行われた。修復家の一人、エリザベッタ・ルッリ(Elisabetta Lulli)さんは、バロック時代の伝説の彫刻家ジャン・ロレンツォ・ベルニーニ(Gian Lorenzo Bernini)の作品について「まるで歴史書のように、前回の修復を確認できます」と語った。

 同じく修復家のキネ・セッティミニ(Kine Settimini)さんは、「大理石像でも石こう像でも、このコレクションで特に興味深いのは挿入材、つまり過去の修復部分のすべてです。われわれはそれぞれの作品の来歴を物語るものとして記録を残しています」と語った。

 コレクションの主任キュレーターであるアンナ・マリア・カルーバ(Anna Maria Carruba)さんは、ゲルマニクス(Germanicus)将軍の銅像に「触れるだけで感動的だ」と話す。ゲルマニクスは、古代ローマのクラウディウス(Claudius)帝の兄でカリギュラ(Caligula)帝の父だ。

 カルーバさんは「美術館で保管されている作品と個人コレクションの作品では、大きな違いがあります。美術館では来館者が、作品の欠けている部分を想像で補って鑑賞するので、見た目が良くなくても、古代のものだという魅力を感じてくれます。対照的に個人のコレクションでは、それは受け入れられません」と語った。

 展覧会「トルロニア家の大理石像、名作の収集(The Torlonia Marbles. Collecting Masterpieces)」は当初4月に開幕する予定だったが、新型コロナウイルスのパンデミック(世界的な大流行)で延期されていた。(c)AFP/Kelly VELASQUEZ