【10月14日 AFP】葉を果実の周囲に巻き付け、保護的な微気候(狭い範囲の気候)を提供するつる植物の「特異な葉」を山形県自然指導員を務める91歳のボランティアの男性が見つけた。研究論文がこのほど、発表された。

 この植物は、ウリ科植物の「ミヤマニガウリ」だ。植物の葉にはさまざまな大きさや形のものがあり、通常は光合成で重要な役割を果たすが、このミヤマニガウリの場合は、葉が繁殖に関係するという一風変わった特徴がある。

 英学術専門誌「英国王立協会紀要(Proceedings of the Royal Society B:Biological Sciences)」に掲載された論文によると、ミヤマニガウリに見られる特徴的な葉は、種子の入った果実を包み、より低温の環境下でもその生成を促進できるという。

 論文執筆者の一人、山形県立自然博物園(Yamagata Prefectural Natural Museum Park)指導員の長岡信幸(Nobuyuki Nagaoka)さん(91)は、2008年に初めてこの葉の挙動を発見してから、毎年秋に観察を続けてきた。

 論文の共同執筆者で、京都大学(Kyoto University)生態学研究センター(Center for Ecological Research)の酒井章子(Shoko Sakai)教授はAFPの取材に応じ、この奇妙な葉の「温室」に興味を抱いた長岡さんがミヤマニガウリに関する情報をインターネットで検索し、生態学研究センターの記事を見つけたことをきっかけに研究が進んだことを明らかにした。

 酒井教授によると、生態学研究センターは1998年発行のニュースレターでこの植物について書いており、これを見た長岡さんが2008年、センター宛てに手紙を出したのだという。

 酒井教授は、ミヤマニガウリの「包葉(ほうよう)」の写真を見た当初、「これは奇形の芽か、病原菌に感染した芽だ」と思ったと話す。だが、長岡さんから送られてきたその後の観察記録を読み、これがより詳細な調査に値する興味深い現象であると初めて認識したと続けた。