つる植物の特異な「葉の温室」 91歳の自然ボランティアが発見 山形
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■寒さで異なる保護層の厚み
研究チームは出羽山地(Dewa Mountains)南部の月山(Mount Gassan)山麓で、さまざまな高度に生育する植物を調査した。
ミヤマニガウリは両性花を付ける両性株と雄花を付ける雄株のどちらかになり、小さな白い花を咲かせる。花は8月から9月にかけて受粉し、それぞれに種子が入った果実になる。
森林総合研究所(Forestry and Forest Products Research Institute)の専門家も参加した今回の研究では、「一年生つる植物で未成熟の果実を包み込む葉の独特な機能について初めて」言及している。
論文で研究チームは、夏の間は未発達だった両性株の一部の葉が大きくなり、互いに重なり合って未成熟の果実の周囲に繭のようなものを形成することを指摘。また、この「果実を包む葉」が生育期の終わりごろに生成され、周囲の葉を除去した場合との比較では最大4.6度の温度差が確認されたとしている。
論文の執筆者らによると、包葉を取り除くと果実の生存と成長に悪影響が及ぶが、今回の研究ではその仕組みを特定することはできなかったという。
さらに研究では、より寒冷な地域ほど葉の保護層が分厚くなることも確認した。これについて研究チームは、ミヤマニガウリが生存期間の末期にさらされる寒冷気象下においても種子生成が包葉によって可能になっていることを、今回の研究結果は示唆していると述べる。
植物は、その一生の間に数多くの葉を付けるが、一個体の中でも葉の大きさや形状、厚みなどは多様で、これまではその理由が光合成と関係していると考えられていた。
しかし今回の研究では、一部の葉が光合成ではなく繁殖において、より重要な役割を果たしていることが明らかになったと酒井教授は説明する。
ミヤマニガウリの包葉は他の葉に比べて光合成の能力が低く、葉の緑色度と構造が他と異なっているのが見て取れる。(c)AFP/Kelly MACNAMARA