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【10月14日 AFP】ロシアのカムチャツカ(Kamchatka)地方で先月発覚した海洋生物大量死の原因についてロシア科学アカデミー(Russian Academy of Sciences)の副会長は12日、人為的な環境汚染ではなく、藻が作る毒素だとこれまでの調査で分かったと明らかにした。また、国際環境NGOグリーンピース(Greenpeace)は13日、周辺海域の海底の様子を撮影した映像を公開した。

 先月、地元のサーファーらが目の痛みを訴え、海水の色が変わり、異臭を放っていたと報告。アザラシやタコ、ウニなどの海洋生物の死骸が大量に打ち上げられているのも見つかった。

 科学者らは、最悪の場合で、この海域の海底に生息する生物の95%が死んだと主張していた。環境保護活動家らは、汚染の原因は旧ソ連時代の有害物質貯蔵地からの流出の可能性があると懸念を示していた。

 しかし、ロシア科学アカデミーのアンドレイ・アドリアノフ(Andrei Adrianov)副会長は12日、記者会見を開き、「大規模な現象が起きているのは確かだが、カムチャツカでは珍しくない有害な藻の発生だ」と語った。

 海水のサンプルから、「無脊椎動物に影響する毒素」を作る「(微小藻類の)ギムノディニウム(Gymnodinium)だけ濃度が高いことが分かった」という。アドリアノフ氏は、この毒素がダイバーやサーファーの症状を引き起こした可能性もあると指摘した。

 カムチャツカ地方では先週、汚染によって40キロにわたる油膜が形成され、日本やクリール諸島(Kuril Islands、北方領土を含む千島列島)に向かって南に移動していることが明らかにされていた。

 グリーンピースロシア支部の活動家らは、状況は改善しておらず、依然として海洋生物の死骸が海岸に打ち上げられていると懸念を表明したが、アドリアノフ氏は、自然は極めて速く自己再生していると述べた。

 映像はグリーンピースが撮影・公開した、周辺海域の海底の様子。13日撮影・提供。(c)AFP