【10月14日 AFP】世界貿易機関(WTO)は13日、米航空宇宙機器大手ボーイング(Boeing)への米政府の補助金をめぐる紛争で、欧州連合(EU)に対し、米国からの輸入品に報復関税を課すことを承認した。WTOは昨年、航空機大手エアバス(Airbus)への補助金をめぐり、米がEUに関税を課すことを認めていた。

 米国とEUの間で16年続いている、双方の航空機大手に対する政府補助金をめぐる紛争で、EUは今回、米国からの輸入品とサービスに計39億9000万ドル(約4200億円)相当の関税を課すことが認められた。

 仲裁人がまとめた121ページの報告書によると、WTOはこの額について、米国のボーイング補助金で「もたらされたと判断できる、不利な影響の程度と性質に見合った」ものだと判断した。AFPが確認したEUの関税対象品目一覧には、米国製の航空機のほかトラクター、サツマイモ、ピーナツ、冷凍オレンジジュース、たばこ、ケチャップ、太平洋サケが挙がっている。

 EUと米国は互いに相手側政府が、それぞれの航空機大手に違法な補助金を出していると主張。双方がWTOの紛争処理機関(DSB)に申し立てを行っていた。

 これを受けて、欧州委員会(European Commission)のバルディス・ドムブロフスキス(Valdis Dombrovskis)執行副委員長は「有害な措置や対抗措置の連続を避け、米国との交渉による解決を強く希望していることを明示する」と言明。米通商代表部(USTR)のロバート・ライトハイザー(Robert Lighthizer)代表は、米国が長年の紛争の解決策を見つけるため協議を「強化する」考えを示した。(c)AFP/Nina LARSON