【10月13日 時事通信社】アフガニスタン政府と反政府勢力タリバンが、永続的停戦やタリバンを含む新たな政治体制構築について話し合う和平交渉を開始してから12日で1カ月が経過した。米大統領選を前に「米史上最長の戦争」の終結を急ぐトランプ政権の仲介で始まった交渉だが、双方は入り口で手続き論をめぐって対立しており、停戦実現にはほど遠い。

 交渉の間も、双方の攻撃は続いている。政府の交渉責任者のアブドラ氏は12日の演説で、「国民は協議の加速と暴力の低減を望んでいるが、暴力は減るどころか増加している」とタリバンを非難。タリバンも12日の声明で、政府軍の砲撃で「民間人の死傷者が出た」と批判した。

 交渉停滞の原因の一つは、イスラム教の解釈の相違だ。タリバンは、交渉で問題が生じた場合、イスラム教スンニ派の解釈に従うよう主張。イスラム教シーア派のハザラ人を含む少数派の尊重を掲げてきたアフガン政府は、難色を示している。

 女性の地位をめぐっても、政府と独自のイスラム教解釈を展開するタリバンとの立場の違いは鮮明だ。アフガンで約10年間、復興支援に関わってきた外国政府系支援組織の関係者は、2001年のタリバン政権崩壊以降で「もっとも大きな変化」は、女性の社会進出だと強調する。

 立場の弱い女性を家庭内暴力(DV)から守るため、男性警官には踏み込みにくい家庭内に入って問題を解決できるよう、日本政府の支援で女性警官を増員したのは典型的な例だ。独自解釈で女性の進出を制限してきたタリバンには、受け入れ難い変化とみられている。

 アフガン駐留米軍の撤収も焦点になっている。タリバンと米トランプ政権は今年2月末、条件付きながら21年5月までにアフガン駐留米軍を完全撤収させることを柱にした和平合意を結んだ。タリバンが警戒するのは、11月の米大統領選でトランプ大統領が再選を果たせなかった場合、アフガン政府が完全撤収を見送るよう次期米政権に働き掛けることだ。

 タリバンはアフガン政府に対し、米軍撤収を前提に和平交渉を進めるという原則に同意するよう要求している。しかし、アフガン政府はそもそも頭越しの米・タリバン合意を好意的に捉えておらず、米軍撤収により「実力組織」としてのタリバンの存在感が高まると懸念を深めている。(c)時事通信社