■レバノンを離れることを考える女性たち

 ベイルートのバスタ(Basta)地区の移動診療所内で働く助産婦のヘバ・コウダリー(Heba Khoudary)氏(34)は、妊婦たちの中には爆発直後に早産や出血を経験するか、うつ病になった人もいると話した。

 コウダリー氏によると、バスタの移動診療所は妊婦に無料で超音波その他の検査を実施し、別の保健センターに紹介している。

 マカッセド・イスラム(Makassed Islamic)協会が運営している移動診療所は、爆発後にUNFPAによる支援が行われるようになった三つの診療所の一つだ。爆発以来、こうした移動保健センターが診療してきた女性は600人以上に上る。

 シリア難民のリマ・ジャシム(Rima Jassem)さん(33)は、8月4日の爆発から数日後に診療所に駆け込んだ。恐怖のあまり、流産するのではないかと思ったためだ。

 その後、女児を出産したジャシムさんは、「爆発以降、眠れなかった。頭の中で繰り返し(爆発の瞬間が)再生され、また起きるのではないかと体がすくんでしまう」と語った。

 破壊された港を見下ろす建物の屋上にある小部屋で、ジャシムさんと夫は、4人の子どもと共に床で寝ている。

 ジャシムさんは数年前、安全を求めてシリアから隣国レバノンに逃れて来た。今は、この国にずっと住み続けたいかどうか分からなくなってきた。

「シリアの状況が落ち着いたら家族で帰るかもしれない」と話した。

 ジャシムさんは帰国を望んでいるが、ミネイミニさんは自国レバノンを出ることを考えている。

「この国にいても、私と家族には未来がない。生き延びたらの話ですが」とミネイミニさんは語った。

 映像は女児を出産したシリア難民のジャシムさん家族や、移動診療所での検診の様子。9月18、23日撮影。(c)AFP/Layal Abou Rahal