■レブロンのコート外の存在感

 ジョーダン氏とは長年にわたり敵対関係にあるアイザイア・トーマス(Isiah Thomas)氏は先日、自身のツイッター(Twitter)アカウントで「これまでの人生で見てきた中で最高で最も『完成された』選手は、コートの内外でキング・ジェームズだ」「見た感じでも優れているし、すべてのカテゴリーにおける数字が私が見たものを証明している。GOAT(greatest of all time、史上最高の意)、そのことを知らしめよう!」とつづっていた。

 トーマス氏は決して中立な観察者とは言えず、ジョーダン氏との激しい確執は、今年新型コロナウイルスが大流行する中で世界的なヒットを記録した同氏のドキュメンタリーシリーズ「ラストダンス(The Last Dance)」で明確に示されていた。

 一方、ジェームズとはクリーブランド・キャバリアーズ(Cleveland Cavaliers)時代の2015年にチームメートとしてプレーし、2008年にセルティックスでファイナルを制覇しているケンドリック・パーキンス(Kendrick Perkins)氏も、この論議に関してはレブロンに票を投じており、「ブロン(ジェームズ)と他の選手を分けるのは重圧だ」「18歳にして初日からGOATの期待をかけられ、地元の街を背負い、レジェンドたちと比べられている。そしてその期待をすべて上回っている!」とツイートしていた。

 ジョーダン氏が最後に優勝した年齢と同じ35歳で新たにタイトル獲得したジェームズだが、レイカーズでのキャリアは開始したばかりで、「これは決して色あせることはない」と話していた。

 10代の神童として2003年のNBAドラフトで全体1位指名を受けた後、ジェームズは2007年に22歳でキャバリアーズのファイナル出場に貢献したが、ジョーダン氏をほうふつさせる高い跳躍力や豪快なダンクをもってしても、サンアントニオ・スパーズ(San Antonio)にスイープされるのを阻止できなかった。

 2010年にはキャバリアーズを退団してヒートに移籍し、ドウェイン・ウェイド(Dwyane Wade)とクリス・ボッシュ(Chris Bosh)と共に「ビッグ3」を形成。チームを4季連続でファイナルに導き、2度タイトルを獲得した。

 2014年にキャバリアーズに復帰すると、立て直された戦力と共に2016年にはシーズン73勝を誇っていたゴールデンステイト・ウォリアーズ(Golden State Warriors)を倒し、故郷クリーブランドにタイトルをもたらした。キャバリアーズは2015年から4季連続でウォリアーズとNBAファイナルで激突したが、優勝したのはそのうち一度だけだった。

 ジェームズはプレーオフ歴代1位の得点数を誇り、同出場回数もトップの260試合を記録しているほか、リーグ通算得点数では3位につけている。ジェームズがNBAオールスターに計16回出場し、シーズンMVPにも4回選ばれているのに対し、ジョーダン氏は球宴出場14回、シーズンMVP受賞は5回となっている。

 ジョーダン氏は社会活動とは無縁だった一方で、コート外では米スポーツ用品大手ナイキ(Nike)などの企業と破格の契約を結んでバスケットボールを世界規模に押し上げるパイオニアとなった。こうした努力が、ジェームズがより発言力を得られる土台づくりを助けた。

 ジェームズらが設立した団体「More Than A Vote」は、有権者登録の支援をしたり、1万人の投票所職員の雇用を生み出したりしている。同選手はまた、ドナルド・トランプ(Donald Trump)米大統領を大々的に批判しているほか、黒人男性のジョージ・フロイド(George Floyd)さんが死亡した事件が発生した5月以降は、反人種差別運動を支持している。

「これからも自分の役割をこなしながら変革や教育を推進し、自分の話に耳を傾けてくれる世界中のコミュニティーを啓発し続けていく」「何ができて何ができないかは自分でコントロールできる。ときには痛みを伴っても、そのことを心配しないようにするだけだ」 (c)AFP