【10月22日 AFP】米プロバスケットボール(NBA)のスーパースターであるレブロン・ジェームズ(LeBron James)は、3チームをNBAファイナル制覇に導いた史上初の選手となり、マイケル・ジョーダン(Michael Jordan)氏とどちらがリーグ史上最も偉大な選手かという議論を再燃させている。本人は「分からない」としつつ、「その議論は皆さんに委ねよう」と話している。

 11日に行われたNBAファイナル第6戦で、ロサンゼルス・レイカーズ(Los Angeles Lakers)は106-93でマイアミ・ヒート(Miami Heat)を下し、戦績4勝2敗でシリーズを締めくくった。これでジェームズはキャリア10回目の出場にして4度目の優勝を果たしたほか、通算4度目のファイナルMVPにも輝き、同賞で自身を上回るのは計6度選出のジョーダン氏だけとなった。

 ジョーダン氏は1990年代にシカゴ・ブルズ(Chicago Bulls)でNBAファイナルに6度出場しており、父親の死後に米大リーグ(MLB)でのキャリアを追求した2年間を挟んでスリーピートを2度達成し、計6度のタイトル獲得を果たした。

 同氏のプレーは年を重ねるにつれて進化を遂げ、跳躍力を武器に一人で相手を圧倒できた若手選手だったのが、2度目のスリーピートではチームメート全員を生かしながら重責を背負うベテランへと変化していた。

 一方のジェームズは、主にジョーダン氏が確立した巨額年俸やフリーエージェント(FA)制を大いに活用し、最大限の給与を獲得して移籍した各チームを王者に導いており、現在では徐々に脇役もこなしながら自分の役割を進化させている。

 コート外ではジェームズの方が明らかに王者にふさわしく、教育の推進や社会活動への貢献度は、なぜもっと政治活動に参加しないのか聞かれて「共和党員もスニーカーを買う」とコメントして悪評を買ったジョーダン氏をはるかにしのいでいる。

 単にタイトル獲得数だけで最も偉大なNBA選手を選ぶなら、1960年代を席巻したボストン・セルティックス(Boston Celtics)のビッグマン、ビル・ラッセル(Bill Russell)氏になるだろう。同氏は13年間の現役生活で、ジョーダン氏とジェームズの合計数を上回る通算11度のファイナル制覇を経験した。

 しかしながら、NBAを世界的な人気スポーツに押し上げた功労者は、1992年のバルセロナ五輪で「ドリームチーム」の一員として米代表チームを金メダルに導いたジョーダン氏だ。ジェームズも2004年アテネ五輪では銅メダルに終わる屈辱を味わったが、2008年北京五輪と2012年ロンドン五輪では金メダルを獲得して巻き返している。

 ジェームズはNBAファイナルに10回進出した史上4人目の選手となり、それを超えるのはラッセル氏とそのチームメートだったサム・ジョーンズ(Sam Jones)氏だけとなっているが、ファイナルでの通算戦績は4勝6敗と負け越している。

 ファイナル6戦6勝を誇るジョーダン氏は、ジェームズの息の長いキャリアや多岐にわたる活躍を上回るのだろうか? そのこと自体、重要なことなのか? あるいは、二人はそれぞれの時代のキングということでは済まされないのだろうか?